アート作品を鑑賞する時間の長さはそれぞれの形式によってちがいます。たとえば絵画なら数分、映画は数時間、長編小説は数日。建築が芸術作品であるかどうかはともかく、ある人がある建物と関わる時間は数十年におよぶ場合だってあるでしょう。
建築という形式は日常と深く関わっていて、長い付き合いによってそこに居る人の体に染みこんでいくようなものではないでしょうか。場合によってはその人の根幹にある部分に影響を与えることもあるかもしれません。
その継続性、時間性こそが建築の素晴らしさであり、建築のもつ力です。私はそのことに大きな責任を感じます。
表層的なデザインだけに留まらず、豊かな生き生きとした時間/建築を設計したいと思います。
小松 豪