杉並の家ちゅうりっぷ保育園

事業主:社会福祉法人けいわ会/所在地:東京都杉並区/規模:鉄骨造3階建

 

計画地は京王線の駅からほど近い、3,4階建てビルが密集した地域内、商店街通りと住宅地に面した二面接道の敷地です。都内市街地の保育施設は用地確保が困難なため高層化する傾向があり、当園も周囲のビルに肩を並べて隣地境界線際まで目一杯に建つ、3階建ての市街地型保育園の計画となりました。 商店街に面する既存園舎を使用しながら南側に拡張した敷地に新園舎を建築し、住宅地側に設けた裏口を仮の入口として仮使用で移行開園(一期工事)、その後既存園舎を解体、跡地に園庭、玄関アプローチを整備しました(二期工事)。
厳しい条件の中で閉鎖的になりがちな密集市街地での設計に際して、いかに光と風の抜ける開放的な空間をつくるか、言い換えれば子どもたちにどれだけ空間的余地を残せるかを一番に考えました。機能諸室のヴォリュームを建物の東西に寄せて配置し、中央に南北に抜ける大きな開口のある天井高の高いホールを設け、自然光と通風を呼び込もうと試みました。 ホールに面して保育室、調理室、職員室などが窓をもち様々な活動が垣間見られる場所となっています。
商店街に面しホールにつながる園庭は子どもたちが遊び込めるよう、それ自体が「図」となり建物と同等の重心を持ちうるよう意識して設計には力を入れました。トンネルのある丸太階段の小山を中心に回遊性のある構成を用い、周囲にキウイ棚のアーチや山砂、川砂2種類の砂場、樹木を囲むベンチを配置しました。 市街地だからこそ緑豊かな園庭をめざして花や果実がなる樹木など46種類の樹木、26種類の草花を植え、蝶々や昆虫、鳥が訪れることを意図しました。
建物の外壁仕上げはアースカラーの吹付材に壁面緑化を施し、内部仕上げに国産コルク床、杉材等自然素材を使用し子どもたちが落ち着ける空間を実現しました。 構造計画は柱型梁型が出ないよう細い部材(柱125角)で構成された鉄骨ブレースラーメン構造を採用しています。また低年齢児の保育室には調湿機能付換気と床吹き出しの空調を導入し乳幼児にも優しい設備計画となっています。

杉並の家ちゅうりっぷのHPはこちら

写真:小松豪

 

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